MAZDAのハッチバック小型車MAZDA2のリコール情報をまとめてみました。他社で大問題になったエアバッグ、スカイアクティブとして名を馳せたエンジンは大丈夫?
MAZDA2の2018年リコール対象は?ガソリン車は大丈夫?
2018年、MAZDA2を対象に3件のリコールが届出され、内2件がディーゼルエンジンに関するものです。
残り1件は、平成28年届出のタカタ製エアバッグのリコール該当車リストからもれていた72台についての届出なので、実質的にガソリン車を対象にしたリコールは無かったことになります。
3件のリコールの内容は、次章で詳しく説明します。
2018年リコールはエアバッグ?エンジンに不具合あり?
届出日が新しい順に、以下3件のリコールがありました。
エンジン制御コンピュータ
減速エネルギー回生システム(i-ELOOP)を搭載した車両で、DC-DCコンバータ内部の電気回路がショートし、充電不良でバッテリが上がり、エンジンが停止するおそれがあり、最悪の場合、火災に至るおそれがあるという内容です。
リコール処置は、DC-DCコンバータ交換と制御プログラムの書き換えです。
対象車は、現行MAZDA2のディーゼルモデルの約3500台です。
引用:http://www2.mazda.co.jp/service/recall
エアバッグ
H28年届出のタカタ製エアバッグのリコール対象車リストからもれた車両のリコールです。
リコール処置は、エアバッグのインフレータの交換です。
対象車は、H28年に届出たリコール対象リストからもれた72台です。
引用:http://www2.mazda.co.jp/service/recall
ディーゼルエンジン
ディーゼルエンジンにおいて、燃焼時に発生する煤の量が増え、インジェクタ噴孔部に堆積し、燃料の噴霧状態が悪化し、排気バルブが動きにくくなります。
その結果、圧縮低下による加速不良や車体振動が発生するとともに、エンジン警告灯が点灯あるいはグローランプが点滅し、最悪の場合、エンジンが停止するおそれがあるという不具合です。
処置は、エンジン警告灯が点灯あるいはグローランプが点滅した場合に実施します。
エンジン制御コンピュータ等を点検し、排気バルブのバルブスプリング、インジェクタを無償で交換するとともに、エンジンおよびDPF(黒煙除去フィルタ)に堆積した煤を清掃するという内容です。
対象車は、4代目MAZDA2のディーゼル車、約87000台におよび、修理工数も掛かる重大リコールと言えそうです。
ただ、このリコールは、“予見性リコール”と呼ばれるのもので、警告ランプが点灯した時にサービス入庫を促すもので、即入庫を求められる通常のリコールとは異なります。
引用:http://www2.mazda.co.jp/service/recall
この年のMAZDA2に関するリコールはこの3件で、実質的にはディーゼルエンジン車が対象の2件だけで、ガソリンエンジン車対象のリコールはありません。
MAZDA2の過去のリコール(2017年、2016年)はエアバッグやエンジンに不具合はあった?
前照灯
後付け用品のLEDフォグランプを取り付けた車両で、取り付ける際に使用するハーネスが不適切なため、右側前照灯もしくは右側車幅灯に電気が流れずに不灯となるおそれがあるという内容です。
処置は、全車両の灯火装置を点検し、不灯の場合には、後付け用品のLEDフォグランプ取付けハーネスを対策品に交換するものです。
対象車は、前年度に製造されたガソリン及びディーゼル車ですが、LEDフォグランプをオプション装着したクルマに限られるため、97台にとどまります。
引用:http://www2.mazda.co.jp/service/recall
運転席シート
運転者席の座席高さを調整するリフタリンク不良により、最悪の場合、座席が傾き、正しい運転姿勢が取れなくなるおそれがあるという内容です。
処置は、全車両、リフタリンクを点検し、補強改良もしくは、ユニットごと対策品に交換します。
対象車は、先代、先々代のMAZDA2で、H19年5月からH22年9月の間に製造された16万台に上ります。
対象台数が多いので、古いクルマから順次改善処置が実施されています。
引用:http://www2.mazda.co.jp/service/recall
ディーゼルエンジン
ディーゼルエンジン制御コンピュータの制御不適切により発生した煤が、排気側バルブガイド周辺に堆積し、圧縮不良による加速不良や車体振動が発生し、最悪の場合、走行中にエンジンが停止するおそれがあるという内容です。
処置は、全車両、制御プログラムを対策プログラムに修正し、インジェクタおよび排気側のバルブ周辺に堆積した煤を清掃します。
対象車は、現行車のH26年8月からH28年8月の間に製造されたディーゼル車4万5千台です。
引用:http://www2.mazda.co.jp/service/recall
燃料パイプ(ディーゼル車)
エンジンの燃料パイプの締め付け作業が不適切で、燃料が漏れ、最悪の場合、火災に至るおそれがあるという内容です。
処置は、全車両、当該燃料パイプ、パッキンおよびコネクタボルトを新品と交換し、規定トルクで締め付けます。
対象は、ごく限られた期間に製造された現行のディーゼル車3台だけです。
設計ミスによるものではなく、製造ラインでの組付けミスです。
引用:http://www2.mazda.co.jp/service/recall
フロントサス
前輪サスペンションの締め付け作業不適切により、最悪の場合、ナットおよびボルトが脱落し、走行不能になるおそれがあるという内容です。
処置は、全車両、当該ナットの締め付けトルクを点検し、ナットが緩んでいるものは、ボルトおよびナットを新品と交換し、規定トルクで締め付けます。
対象は、ごく限られた期間に製造された先代MAZDA2の163台です。
引用:http://www2.mazda.co.jp/service/recall
燃料フィルター(ディーゼル車)
燃料フィルターのドレンプラグ取付部の平面が確保できていないため、シール性が低下することがあり、燃料が漏れるおそれがあるというものです。
処置は、全車両、燃料フィルターもしくは、燃料フィルターのドレンプラグとガスケットを対策品に交換します。
対象車は、現行MAZDA2のディーゼル車約1万3千台です。
引用:http://www2.mazda.co.jp/service/recall
DC-DCコンバータ
DC−DCコンバータの部品検査指示が不適切により、コンバータ内部がショートし、充電不良となり、警告灯等が点灯し、最悪の場合、火災に至るおそれがあるという内容です。
処置は、全車両、DC−DCコンバータを良品に交換します。
対象車は、現行ディーゼル車約千台です。
当時の発表資料中には、明確になっていませんが、今年届出された、減速エネルギー回生システム(i-ELOOP)のリコールと同じ内容だと思われます。
引用:http://www2.mazda.co.jp/service/recall
エアバッグ
助手席側エアバッグのインフレータ(ガス発生装置)のガス発生剤が湿気のある状態で長期間の温度変化にさらされると劣化することがあります。
この劣化により、エアバッグ展開時にインフレータ容器が破損、飛散し、乗員が負傷するおそれがあるというものです。
処置は、全車両、当該インフレータを交換用部品が準備できた段階で、年式の古い車両から対策品と順次交換します。
対象台数が多く部品供給が間に合わない場合には、暫定的に助手席用エアバッグの機能を停止し、助手席サンバイザ部に当該エアバッグが作動しない旨の警告を表示します。
対象は、H19年5月からH26年9月の7年間に製造された、先代、現行MAZDA2の33万台です。
下記の説明図は、同時にリコールされたボンゴの絵がつかわれています。
引用:http://www2.mazda.co.jp/service/recall
重大性、対象台数に軽重はありますが、単一車種に関して2年間で8件のリコールは、一寸多すぎる印象です。
MAZDA2、リコールその後は?
新聞紙上を含め、マスメディアを通して大々的に周知されている、タカタ製エアバッグは、MAZDA2の助手席エアバッグに使われていました。
リコール改修を促進するため、平成30年5月より、未改修車両に対する「車検で有効期間を更新しない措置」が導入されていて、リコール修理が未実施の場合、車検が通らないので注意してください。
ディーゼルエンジンの煤に起因するリコールが、この3年間に2回、届出されています。
ディーゼルエンジンに関しては、MAZDA2のエンジンではないものの、11月になってからバルブスプリングの交換を要するリコールが届出されました。
対象台数が多く、改修に要する工数も大きい重大不具合と言えます。
幸い、ガソリンエンジンでは重大不具合を出していませんが、信頼耐久性に関して業界水準に達していないと言わざるを得ません。
MAZDAは、開発手法を含み、野心的に新技術に挑戦しています。
私を含め、こんな姿に共感している多くのユーザーの期待を裏切らない、性能だけでなく耐久信頼性の高い世界中で愛される新しいMAZDA2を造ってほしいと願っています。
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